
筋肉を最大限に成長させるには、フルレンジモーション(全可動域)の動作で行うのが基本。
それを踏まえたうえで、可動域による筋肉の働きを使い分け、上腕二頭筋(力こぶの筋肉)に最大限に負荷をかけるには?
この記事では、上腕二頭筋のエクササイズであるカールで使われる筋肉と、効果的に行うための方法を解説していきます。
カールで使われる3つの筋肉
肘関節を屈曲する(曲げる)カール動作では、主に上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋の3つが働いています。
これらの筋肉は、それぞれ付着している部位や役割がそれぞれ異なりますが、共同して働くことにより、肘を曲げる動作が行われます。
腕橈骨筋は橈骨(手首の近く)から始まり、上腕骨の肘近くに付着しています。
腕橈骨筋は、カール動作のスタート時(肘を伸ばした状態から、~30度までの角度)に働きます。
上腕筋は、上腕二頭筋の下(深部)に位置し、下端は尺骨(前腕の骨のひとつ)、上端は上腕骨下端に付着しています。
上腕筋はカールの可動域の中間の段階(30~100度)でもっとも強く働きます。
上腕二頭筋は上腕の表側にあり、2つの筋頭(長頭と短頭)とも、橈骨の肘近くから始まって、上端はそれぞれ肩甲骨に付着しています。
上腕二頭筋は肘を90度に曲がるポジションを過ぎたあたりから(100~135度)、主要な働きをするようになります。
上腕二頭筋のテンションを維持する方法
カールをやや肘を曲げたポジションからスタートすると、動作全体をとおして上腕二頭筋のテンション(緊張状態)を維持することができます。
肘をやや曲げた位置から始めると可動域は少し狭まりますが、腕橈骨筋の働きが抑えられ、上腕の筋肉に刺激を集中することができます。
上級者向けテクニック「21レップ法」
3つの筋頭をそれぞれ重点的に鍛える方法として、「21レップ法」があります。
これは、ロニー・コールマン(1998~2005年ミスターオリンピア=ボディビルチャンピオン)も好んで行っていた応用テクニックで、7回ごとに違う可動範囲で動作を行うやり方です。
まず最初の7回は、カールのスタートポジション(肘を伸ばした状態)から、動作の中間点(90度まで)の範囲で動作を繰り返します(主に腕橈骨筋と、上腕筋が刺激されます)。
次の7回は、動作の中間点からトップポジション(90~135度を超えたところ)までの範囲で行います(主に上腕二頭筋が刺激されます)。
最後の7回は全可動域の動作を行い、3つの筋肉をしっかりと追い込むようにします。
まとめ:動作の角度とそれぞれの筋肉の働き
・カールでは、肘を伸ばしたスタートポジションから30度までは、主に腕橈骨筋が働く
・30~100度までは、主に上腕筋が働く
・100~135度では、上腕二頭筋が主に働く
筋トレでは、全可動域の動作で行うことが多くの筋繊維を動員し、筋肉を最大限に成長させる基本となります。
応用として、可動範囲を区切って行うことで、特定の部分に焦点を当て刺激することができます。