
「60代以降の運動はウォーキングがおすすめ?」「食事は1日2食でよい?」
高齢期は後々の健康を維持するため、中年期とはまた違った運動や食事の対策が必要になります。
この記事では東京都健康長寿医療センターの資料をもとに、高齢期に入ってもできるだけ健康上の問題を抱えなくて済むよう、60代以降の運動・筋トレや食事のポイントなどについて解説していきます。
平均寿命と健康寿命の違い
日本人の平均寿命は、81.47歳、女性が87.57歳(2021年厚生労働省の調べ)。
一方、健康寿命(介護などを必要とせず、日常の生活が送れる期間)は男性が72.68歳、女性が75.38歳(2019年)。
つまり男性は生涯最後の約9年、女性は約12年の間、介護を受けたり寝たきりになる心配があるということになります。
60代以降の運動や食事は、フレイル(虚弱)やサルコペニア(加齢により筋肉量が減少していくこと)になることを防ぎ、介護が必要となる状態をできるだけ先送りにすることが大切です。
60代以降は筋肉の維持が重要
中年期の健康づくりは、主に肥満による生活習慣病の予防が目標となります。
40~50代のダイエット・健康づくりは、メタボリックシンドローム(肥満・高血圧・糖尿病・脂質異常の集積。心臓病や脳卒中などのリスクが高まります)の対策が中心。
一方、高齢期の健康づくりの目標は、フレイルやサルコペニアを抑え、老化を予防(心身の機能を維持・増進)することが中心となります。
60~70代以降は(できればもっと早くに)、筋肉量を維持するための筋トレや食事を取り入れることで健康状態を長く維持し、自立した生活が送れるようにすることが重要となってきます。
メタボとフレイルの対策の違い
ここでメタボリックシンドロームとフレイルの対策の違いについて、ポイントをまとめてみます。
*食事
・メタボ:摂りすぎに注意、野菜もしっかりと ・フレイル:不足に注意、肉・魚・卵もしっかりと
*運動
・メタボ:エネルギーを消費(有酸素運動) フレイル:とくに下半身の筋肉量の維持(筋トレ)
*嗜好品
・メタボ:タバコはNG、アルコールは適量 ・フレイル:タバコはNG、アルコールは適量
*睡眠
・メタボ:十分な睡眠時間 ・フレイル:昼夜のリズムを整え、まとまった睡眠をとる
*社会
・メタボ:働きすぎやストレスに注意 ・フレイル:積極的に社会参加
運動と食事の例
加齢により、筋肉が最も減少しやすくなるのは、大腿四頭筋(太ももの表側)・殿筋(ヒップ)・ハムストリングス(太ももの裏側)などの下半身の筋肉になります。
加えて、広背筋や僧帽筋(背中)の運動を取り入れると猫背の予防になり、姿勢を良くして筋力を維持・体を引き締めるのにも役立ちます。
また仕上げに腸腰筋(太ももの付け根の筋肉)・腹筋の運動を加えると足を上げやすくなり、つまずきによる転倒・ケガの防止が期待されます。
▼自重で始められる筋トレメニューの例はこちら

マシンで行う筋トレも推奨されています。
▼マシンで行う筋トレメニュー例はこちら

食事はエネルギーや栄養素が不足しないよう、様々な食品から摂取することが推奨されています。
(和食をベースに、肉類と油脂類を摂る頻度も増やすことが、老化を遅らせるのに有効と報告されています)
肉や魚がたくさん食べれない場合は、代替案としてホエイプロテインなどを利用すると、筋肉をつくるたんぱく質の不足分を補うのに役立ちます。
まとめ
健康のための運動・ダイエットは、中年期はメタボ(肥満)の防止、高齢期はフレイル(虚弱)の防止が中心になってきます。
そのため、運動は(とくに下半身の)筋肉量を維持する筋トレが大事。
食事も和食をベースに、肉類や油脂類を摂る頻度を多くして筋肉量を維持していくことが、長く健康を保つうえで役立つことが確認されています。
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