
腹筋の正しい鍛え方は?
腹筋を鍛えるには各部位の構造と働きを理解して、その上でトレーニングメニューを組んで行うと効果的です。
この記事では、腹筋の各部位の働きとそれぞれに効果的なエクササイズを解説。1回2分で行えるスピードメニューから応用の筋力アップのメニュー例まで紹介します。
腹筋・各部位の筋肉の名称と働き

腹筋の筋肉は、正面の腹直筋・わき腹の外腹斜筋と内腹斜筋・深部の腹横筋で構成されています。
腹直筋は、腹部正面のろっ骨から骨盤につながる長い筋肉で、脊柱を屈曲する(体幹部を丸める)働きがあります。
腹直筋の上部は、いわゆる「6パック(6つに割れた腹筋)」といわれる部位で、ここが発達して体脂肪が落ちてくると、くっきりと割れた腹筋をつくることができます。
腹直筋上部は、腹筋の基本エクササイズであるクランチ(仰向けになって、ろっ骨を骨盤へ近づける動作)やそのバリエーションで鍛えることができます。
腹直筋の下部は、骨盤前面の下腹とわれる部位で、骨盤をろっ骨のほうへ(脚を胸のほうへ)近づけるリバースクランチで鍛えることができます。
外腹斜筋はわき腹の表層の筋肉で、サイドベント(脊柱を側屈する=横に倒した上体を起こす動作)や、ツイスティングクランチ(脊柱を回旋する=体幹部をひねる動作)などで鍛えることができます。
内腹斜筋は、外腹斜筋より深部にある筋肉で、外見では確認することはできません。
内腹斜筋は、クランチやリバースクランチ、サイドベントなどで動作を補助するのに働いています。
腹横筋も、腹部の奥にある筋肉で、息を吐くときに腹部を圧縮する働きがあります。
腹横筋は、プランク(ヒジを床についた腕立て伏せの姿勢で維持する動作)などで腹部を引き込んだ状態を保つ、あるいは腹筋や他の部位のエクササイズでも補助的に鍛えることができます。
それぞれの部位と働きを理解してトレーニングを行うと、腹筋を効率良く鍛えることができます。
腹直筋上部を鍛えるクランチ

腹直筋上部(腹部正面の上部。6パック=6つに割れた腹筋といわれる部位)は、脊柱を屈曲させる(体幹部を丸める)働きがあります。
腹直筋上部を鍛える基本のエクササイズがクランチになります。
床に仰向けになって、肩をわずかに上げて、ろっ骨を骨盤に近づけるようにして上体を丸めます。
上体を挙げたところで一瞬静止して、腹筋を引き締めるようにして力を入れ、ゆっくりと下ろして繰り返します。
注意点は、股関節(太ももの付け根)を中心に上体を上げ下げする動作にならないようにすること。
(いわゆるシットアップ。これも腹筋にある程度効果はあるのですが、腸腰筋など股関節屈筋群=太ももの付け根の筋肉の働きのほうが大きくなります。
腹直筋を効果的に刺激するには、下背部を床に押し付けるようなイメージで体を丸めるようにします)
強度を調節するには、最初は脚を床に下ろして、慣れてきたら脚を床から持ち上げると股関節屈筋の働きを抑えて、より腹直筋に負荷を集中することができます。
また手も最初は太ももに沿わせるようにして、そこから余裕が出てきたらお腹、胸、頭上と手を上げるようにすると、腕の重みが加わって強度を上げることができます。
腹直筋下部を鍛えるニートゥチェスト

腹直筋下部(下腹)も上部と同様に、脊柱(体幹部)を丸める働きがあります。
下部を鍛えるには、上部と反対に骨盤をろっ骨の方へ引き寄せる動作が効果的。
座った姿勢で行うニートゥチェストは負荷が軽く、初心者や女性の方も行いやすい腹筋エクササイズになります。
ニートゥチェストのやり方は、床またはベンチに座り、下背部(腰の周辺)を丸め、脚(骨盤)を胸(ろっ骨)のほうへ近づけるようにします。
注意点はクランチと同様、上半身をまっすぐにして上下しないようにすること。
(これだと、股関節屈筋群=太ももの付け根や、大腿直筋=太ももの表に負荷が集中しやすくなります。
脚と胸を近づける際に、下背部を丸めるようにするとスタート時に腹直筋下部に負荷がかかるようになります。
また、フィニッシュで脚を胸のほうへしっかりと近づけるようにすると、上部にも負荷がかかります)
最初はヒザを曲げて、余裕が出てきたらヒザを伸ばして行うと強度が上がります。
さらに、ベンチに座って行うと動作の範囲を広げて行うことができます。
外・内腹斜筋を鍛えるロシアンツイスト

わき腹にある内・外腹斜筋は、脊柱を側屈する(体幹部を横に持ち上げる)、または回旋する(ひねる)働きがあります。
座った姿勢から上体を左右にひねるロシアンツイストは、筋トレの仕上げにウエストを引き締めるのに効果的なエクササイズです。
ロシアンツイストのやり方はヒザを90度に曲げて座り、上体をやや後ろに倒して、息を吐きながらリズミカルに上体を左右にひねっていきます。
上体を倒すときは下背部を丸めて、腹筋の緊張状態が保てる角度(だいたい45度くらい)に維持して行います。
最初はかかとを床につけて行い、動作に慣れてきたら床から足を浮かせると、バランスをとるのに腹筋により効かせられるようになります。
リズミカルに深く呼吸しながら行うと、腹斜筋・腹直筋(腹部正面)のほか、深部の腹横筋まで刺激することができます。
素手で行っても十分効果がありますが、プレートやダンベル・メディシンボールなどを持って負荷をかけて行うと、強度を上げることができます。
腹横筋を鍛えるプランク

プランクは腹筋の深部にある腹横筋と、脊柱を安定させる体幹部(肩から骨盤まで)を静的に鍛えるエクササイズになります。
腹横筋は息を吐くときに腹部を圧縮させる働きがあり、腹部をグッと強く引き込んだ状態を保つことで、お腹を凹ませる効果が期待できます。
プランクのやり方は、ヒジから下を床につけた四つん這いの姿勢から、片足ずつ足を後方へ伸ばし、肩から足までを一直線になるようにします。
(きつい場合は、最初はヒザを曲げて床について行ってもよいです)
肩甲骨を引き下げて背中側で広げるようにして、ヒジを床に押し付けるようにします。
体幹部に力を入れ、腹筋・背筋・殿筋(ヒップ)、さらに脚の筋肉の緊張状態を保つようにして姿勢を維持します。
最初は10~20秒から始めて、無理なく姿勢が維持できるようになったら時間を伸ばしていき、40~60秒程度まで行うと効果的です。
きつくなってくると腰が落ちたり、ヒザが曲がりやすくなりますが、その際はいったん休息を入れて、余裕があれば繰り返すようにします。
通常、プランクはヒジを曲げて肩の下につくようにしますが、応用としてヒジを伸ばした姿勢(プッシュアップ:腕立て伏せのスタートポジション)で行うと、肩・腕にも負荷をかけることができます。
また、横向きになって行うサイドプランクだと、腹斜筋(わき腹の筋肉)を鍛えることができます。
1回2分から行える腹筋のトレーニングメニュー

初心者の方にも効果的な、腹筋を鍛える2分間のスピードメニューの例です。
・ニートゥチェスト(腹直筋下部:下腹)
・ロシアンツイスト(腹斜筋:わき腹)
・クランチ(腹直筋上部:6パック)
・プランク(腹横筋:お腹を凹ます)
各エクササイズを20秒行って、10秒休憩(もしくは、それぞれを15~25回行って、5~10秒休憩)、これを1セットずつ。
余裕が出てきたら、2~3周繰り返すとさらに効果的です。
また次のトレーニングでは各エクササイズを15~25回、合間に15~30秒休憩を入れて、2~3セット行うと筋力のアップにも効果的です。