
医療の発達により年々平均寿命は延び、「人生100年時代」といわれます。
ですが、寿命が延びても鍛えていなければ筋肉は落ち(成人以降、年に約1%ずつ減少します)、階段を上って息が切れる、歩幅が狭くなり歩くスピードが落ちる、後年は寝たきりになるといった心配もされています。
中・高齢者の方に有効な筋トレメニューとは、どのようなものなのでしょうか?
この記事では加齢により衰えやすい筋肉と、それらの部位を強化するための筋トレ種目を5種目、厳選してご紹介します。
衰えやすいのは下半身の筋肉

一般的に、年齢を重ねるにつれて筋肉量は減少していきますが、使わないでいるとすぐに減りやすくなるのが下半身の筋肉です。
下半身には全身の6~7割の筋肉が集まっていますが、一方で上半身に比べて下半身は3倍も衰えやすいといわれています。
筋肉は、大きな筋肉から細くなりやすくなります。下半身の中でもとくに大きな筋肉が、大腿四頭筋(太ももの表側)・殿筋(ヒップ)・ハムストリングス(太ももの裏)になります。
これらの筋肉は、日常の中で立つ・歩く・階段を上るといったといった役割を担っているので、ここが鍛えられていると、ロコモティブシンドローム(運動器症候群:移動など、運動機能が低下した状態)を予防し、将来寝たきりになるリスクを減らすことも期待できます。
そのほか、背中・上部の広背筋(わきの下)・僧帽筋(肩甲骨の周り)などが鍛えられていると猫背を予防して姿勢をよくし、肩・首周りのコリや痛みを予防する効果が期待できます。
また、太ももと骨盤をつなぐ腸腰筋(股関節:太ももの付け根の前面)が鍛えられていると、歩行時にしっかりと脚を上げることができ、つまずきによる転倒を防止する効果が期待できます。
下半身全体を鍛えるレッグプレス
下半身全体を鍛えるには、スクワットがもっとも効率的です。
スクワットだけでも、大腿四頭筋・大殿筋を主体に、ハムストリングスや下腿三頭筋(ふくらはぎ)など下半身全体をほぼ鍛えることができます。
スクワット以外で同様の効果を得るには、レッグプレスマシンも効果的。
座って行えるのでバランスに気をつける必要がなく、初心者や高齢者の方も行いやすくなります。
(ジムによりさまざまな機種がありますが、メインで10~15回、2~3セットくらいを繰り返せる重さを選んで行えば、同様の効果が得られます)
大腿四頭筋(太ももの表側)を鍛えるレッグエクステンション
レッグプレスに加えて大腿四頭筋を個別に鍛えるには、レッグエクステンションが効果的です。
大腿四頭筋を補助的に鍛える追加種目を加えることで、とくにヒザを伸ばす筋力・筋肉をつけることができます。
(専門のマシンが利用できない場合は、イスに座ってヒザを伸ばし、太ももの表側を引き締めて繰り返すようにしても良いです)
中殿筋(ヒップ側面)を鍛えるクラムシェル
ヒップ側面・深層にある中殿筋は、脚を横へ開く働きがあります。
中殿筋が鍛えられていると骨盤の左右バランスが安定し、立位や歩行もスムーズに行いやすくなります。

ジムには、脚を開いてウェイトを挙げるアブダクターマシンが置かれている場合が多いですが、利用できない場合は、自重で行うクラムシェルなどのエクササイズも、中殿筋を鍛えることができます。
広背筋(背中)を鍛えるマシンロウ
上背部を鍛えるには、ダンベルやバーベルで行うロウや、チンニング(懸垂)がありますが、マシンがある場合は座って行え、腰への負担を軽減して鍛えることができます。
腹筋・腸腰筋(太ももの付け根)を鍛えるニートゥチェスト
背中を丸め、太ももと胸を近づけるニートゥチェストは、腹直筋下部(下腹)・上部とともに、股関節前面の深層にある腸腰筋も鍛えることができます。
終わりに:プログラムの進め方
以上の種目を、あまりきつくなりすぎない範囲で10~15回、2~3セットを目安に繰り返します。
(動作に慣れてきたらやや重量を上げて、8~12回を目安にしても良いです)
疲労が溜まらないよう2~3日おきに、週2~3回程度がまず目安です。
食事では、筋肉の材料となるたんぱく質を多めに(60~70代以降の高齢者の方は、エネルギー源として糖質や脂質もしっかりと)摂取します。
また、睡眠を1日に7時間以上とって、心身を休めて回復を促すようにします。
筋肉は放っておくと衰える一方ですが、適切に継続して鍛えれば、いつからでも成長を促すことができます。
筋肉を鍛えることで、「年数を重ねるほど、若々しくなる」ことも可能になるのです。