
バーベルを頭上に挙げ、三角筋(肩の筋肉)を鍛えるバーベルショルダープレス。
首の前にバーベルを下ろす方法と後ろ側に下ろす方法では、効果にどんな違いがある?
この記事ではフロントとビハインドネックのバーベルプレスの特徴と、安全に行うためのやり方などを解説していきます。
肘のポジションの違い
バーベルを首の前に下ろすフロントショルダープレスと、後ろに下ろすビハインドネックプレスの一番の違いは、肘のポジションにあります。
前に下ろす場合は肘は前向きになりますが、後ろに下ろす場合では肘は横に張り出す形になります。
肘が前を向く場合、肩関節で起こる動きは主に屈曲(上腕を体の前で上げる動作)で、この動作には三角筋前部と大胸筋上部、烏口腕筋(肩前部の奥)が働くことになります。
(手幅により、重点的に使われる部位を変えることができます)
一方、首の後ろに下ろす場合は、肩関節の外転(上腕を横に上げる動作)が主となり、三角筋前部のほか中部(横、側面)と棘上筋(肩甲骨上部の深筋)の働きも大きくなります。
また肘が前向きになる場合も、横に張り出す場合も、肘を伸展させて(伸ばして)バーベルを挙げる動作には、上腕三頭筋(上腕の裏側)が働き、さらに前鋸筋(胸部の奥)と僧帽筋(上背部の中央)が働いて肩甲骨を上方に回し、肩を上げる動作を補助することになります。
ビハインドネックプレスは危険?
バーベルを首の後ろ側に下ろすビハインドネックプレスは、三角筋の古典的なエクササイズですが、肩の関節に不安がある場合などには注意が必要です。
また、繁栄に行うと肩のオーバーユース(使いすぎ)障害を引き起こす恐れも指摘されています。
肩の深部は4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋。まとめて、ローテーターカフ=回旋筋腱板といいます)で構成されています。
ローテーターカフは肩関節を取り巻き、肩を安定させ、負荷に耐えられるようにしていますが、重点的にトレーニングされることは少ないので、強化されていない場合があります。
ビハインドネックプレスの場合、ローテーターカフに大きなストレスがかかり(とくに、バーベルを耳より下に下ろした場合)、肩の障害を引き起こす危険性が高まります。
フロントとバックの特徴の違いと採り入れ方
*フロントショルダープレスの特徴
・胸筋上部も鍛えることができる
・グリップ幅を変えることにより、肩の異なる部位を重点的に使うことができる
(ただし、あまり狭すぎると三角筋前部大胸筋にかかる負荷が大きくなりすぎ、広すぎるとビハインドネックと同じ状態になるので注意。肩幅よりやや広いくらいがベスト)
・ローテーターカフ(回旋筋腱板)、肩関節に大きなストレスが加わる危険性を避けることができる
*ビハインドネックプレスの特徴
・肩全体を鍛える効果が高い(とくに三角筋中部:側面への刺激を大きくすることができる)
・肩が大きくストレッチされるので、三角筋の働きが大きくなり、成長を刺激することができる
・ローテーターカフや肩関節に大きなストレスをかける危険性がある
バーベルショルダープレスでは主として、バーを首の前に下ろす方法だと、ケガの危険性を避けることができます。
また、ダンベルショルダープレスやそれに類似した動作のマシンだと、頸椎(首の骨)に負担をかける姿勢を避けてプレス動作を行うことができます。