
「30代、40代からでも筋肉はつく?」「効果が出るまでの期間は?」「筋トレ初心者はどんなメニューで、どこから鍛えたらいい?」
筋肉は成長期以降、徐々に減少して太りやすく、疲れやすくなってきますが、正しく筋トレを進めていけば取り戻す(またはより増やしていく)ことも十分可能です。
この記事では、中高年の方にも筋トレが効果的な理由、筋肉は何歳までつけられるか、効果が出るまでの期間、優先的に鍛えておきたい部位、自宅でも始められる筋トレメニューを解説していきます。
40代・50代以降も筋トレが必要な理由は?
▼「○○の筋肉をつける筋トレは?」各部位の種目一覧はこちら!

筋肉は成長期以降、何もしていないと年に約1%ずつ減少するといわれています。
(40代で約20%、50代では約30%の筋肉量が減少することに!)
筋肉は体のラインをつくり、また体力(筋力や筋持久力)を維持するもとでもあるので、筋肉量が減ると体形が崩れてきて、疲れやすい体質になります。
また筋肉は余分なエネルギーを消費するエンジンのような役割もあるので、筋肉量が減少すると代謝も落ち、肥満によるさまざまな生活習慣病のリスクを高めることになる恐れもあります。
さらに寿命が延びても(日本人の「平均寿命」は、男性が81.47歳、女性が87.57歳=2021年の厚生労働省の統計)、必ずしも生涯健康に過ごせるという訳ではなくなってきています。
(介護などの補助を必要とせず、日常生活を過ごすことができる「健康寿命」は、男性が72.68歳、女性が75.38歳=2019年の統計)
早い時期から筋肉量を維持する筋トレを習慣づけることは、後年の日常動作や、脳の認知機能などを維持するのにも有効と認識されてきています。
筋トレは何歳まで効果がある?
以前はよく「30代を過ぎると、筋肉はつきませんよね…」といわれていました。
これはおそらく、成長期を過ぎると10年で筋肉量が約10%ずつ減少するため、そう思われていたと推測されます。
実際には、筋肉は正しくトレーニングを進めていけば新陳代謝がある限り(つまり、生きている限り)、維持する(または増やす)ことが可能なことがわかってきています。
(ジムでは、30代・40代以降でも筋トレを続けて立派な体格を維持している方が大勢いらっしゃいますし、60代を過ぎてから筋トレを始めて筋力がアップした方もいらっしゃいます)
90年代のアメリカの研究では、平均90歳の老人ホームの居住者を対象にやや強めの筋トレを行ったところ、筋力が倍増し、日常動作の機能も向上したことが発表されています。
これをきっかけに、さまざまな追実験がおこなわれ、効果が確認されています。
筋トレで効果が出るまでの期間は?
一般的に、筋肉が半分生まれ変わるのにかかる期間は、48日(約1ヶ月半)、すべてが新しくなるに約3ヶ月かかるといわれています。
(よく「筋トレで効果を出すには、3ヶ月続ける必要がある」といわれるのはこのため)
80~90代の方を対象に、ヒザを曲げ伸ばしするマシンの筋トレを行ったところ、3ヶ月でヒザを伸ばす筋力が40%以上、大腿四頭筋(太ももの表側の筋肉)の断面積が10%近くまで増加したという報告もあります。
実際には年齢や性別、スタート時の体力などにより個人差もありますが、3ヶ月以上(1ヶ月半でも、ある程度の効果は期待できます)をみて継続すれば、筋力・筋肉は増やすことは十分可能です。
筋トレは毎日やる必要はある?
▼筋トレの適切な頻度は?分割法についてはこちら!

3ヶ月といっても、筋トレは毎日行う必要はありません。トレーニング後、回復に約48時間は必要になってくるので、初心者の方は1~2日おきで週2~3回が目安になります。
近年の研究などでは、週1回からでも筋力・筋肉がつけられることが確認されています。
(その場合、1種目で複数の筋肉が鍛えられる基礎種目を主体にするなど、工夫する必要があります)
週4~6回、筋トレを行うボディビルダーは全身を細かく分割して補助種目も多く取り入れ、各部位のトレーニングは週1~2回になるようにスケジュールを組んで行っています。
初心者はどの筋肉を鍛えればいい?
体形を良くするための筋トレメニューでは、脚・胸・背中・ヒップ・肩・腕・腹筋と、各部位をバランスよく鍛えていくことが理想的。
ただし、いきなり全部やろうとすると量が多くなりすぎ、疲労がたまって逆効果になりかねません。
(筋トレをすると、血流が促されて一時的に筋肉が大きくなりますが、実際にはトレーニング後に十分な栄養と休養⦅食事と睡眠⦆もとることで、筋肉をつけることができます)
中高年からとくに衰えやすくなるのは、下半身の筋肉です。
下半身には、全身の筋肉のおよそ60~70%の筋肉が集まっていて、上半身と比べると加齢とともに衰えるペースも速くなります。
そのため、とくに優先して鍛えたい部位は、大腿四頭筋(太ももの表側の筋肉)、ハムストリングス(裏側の筋肉)、殿筋群(ヒップの筋肉)など。
また、股関節を曲げる(太ももを持ち上げる)腸腰筋群(大腿骨=太ももと、背骨をつないでいる深部の小筋群)も鍛えておくと、歩行などの日常動作の維持や、つまずきによる転倒の防止などの効果が期待できます。
自宅でできる筋トレメニュー4選!
下記は、下半身全体・大殿筋(ヒップ表面)・中殿筋(ヒップの奥、横)・腸腰筋群を鍛える筋トレメニュー4選になります(家でもできる、初心者の方向けのメニューになります)。
回数・セット数は、10~20回×1~3セット。頻度は、間に1~2日休養日も挟んで週に2~3回が目安となります。
①下半身全体を鍛えるのに、もっとも効果的なのがスクワットです。
股関節(太ももの付け根)やヒザ関節などを曲げ伸ばしすることによって、大腿四頭筋・殿筋・ハムストリングスなど、下半身全体の筋肉を鍛えることができます。
▼スクワットのやり方はこちら(ダンベルを持って行っていますが、初心者の方はイスの背もたれにつかまるなどして、自重で行っても効果があります)

②補助種目として、大殿筋をより集中的に鍛えるにはドンキーキックバックが効果的。
▼ドンキーキックバックのやり方はこちら(余裕があれば、対角線上の手足を伸ばすバードドッグだと、背筋も鍛えることができます)

③さらに表面の大殿筋のほか、脚を横に開くクラムシェルも加えると、歩行時などに骨盤を安定させることができます。
▼クラムシェルのやり方はこちら

④太ももを持ち上げる腸腰筋群を鍛えるには、ニートゥチェストが効果的。
股関節の付け根にある腸腰筋のほか、腹直筋下部(下腹)や大腿直筋(太ももの表、大腿四頭筋の中で一番大きな筋頭)も鍛えることができます。
▼ニートゥチェストのやり方はこちら

▼応用編 さらに細かい男性向け・女性向けの筋トレメニューはこちら


まとめ
筋肉は、放っておくと加齢や運動不足によって衰えてきますが、鍛えれば年齢に関係なく、いつからでも取り戻すことができます。
中高年からの筋トレは、とくに下半身のメニューが効果的。
余裕が出てきたら、さらにマシンやダンベルなども用いて上半身など、より細かい筋肉も合わせて鍛えると、さらに体形を良くしたり体の引き締め、アンチエイジング(老化防止・若返り)の効果が期待できます。
あわせてプロテインなどを活用してたんぱく質の補給も行っていくと、筋肉づくりのほか健康の維持などさまざまな効果が期待できます。