チンニング(懸垂)とラットプルダウンはどっちがいい?効果の違いは?

「チンニング(鉄棒で行う懸垂)とラットプルダウンの違いって何?やるならどっちが効果的?」

チンニングもマシンで行うラットプルダウンも、背中(とくに広背筋:わきの下の筋肉)を鍛えるのに効果的な種目ですが、やり方によって重点が置かれる部分が変わってきます。

今回は背中の筋肉の働きと、それに基づいてチンニングとラットプルダウンではどのような違いがでてくるのか、解説していきます。

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背中の筋肉の名前と働き

背中の主な筋肉には、もっとも大きな広背筋(背中の中央・中部~下部から、外側・わきの下へ広がる筋肉)と、僧帽筋(背中の中央・首の付け根~中部から、肩甲骨へ広がる筋肉)があります。

(この他にも、僧帽筋の深部にある菱形筋、腕の付け根・わきの下の上部にある大円筋、首から骨盤まで背骨周辺にある脊柱起立筋、肩の後部にある三角筋後部によって、背面の筋肉が構成されています)

広背筋の主な働きには、肩関節の内転(上方に挙げた腕を、下に引く動作)・内転(前方に出した腕を、後方へ引く動作)があります。

僧帽筋の中部から下部(肩甲骨の間あたり)の主な働きには、肩甲骨の内転(背中側で、肩甲骨を引き寄せる動作)があります。

実際には、複数の筋肉群が連動して肩や腕を動かしているのですが、これらを知っておくと、それぞれの部分をピンポイントで刺激することができます。

フロントラットプルダウンで鍛えられる筋肉

マシンで行うラットプルダウンの特徴は、プレート(重り)にピンを差し込めば、重量の調節ができること。

負荷の調節が容易なので、自重で行うチンニングより、広い範囲で肩・腕を動かしやすくなります。

広背筋の働きがもっとも大きくなる基本のフロントラットプルダウンでは、順手で肩幅より広めのワイドグリップでハンドルを握り、上から下にハンドルを引くことで、まず広背筋上部や大円筋を鍛えることができます。

(これにより、逆三角形の上半身をつくることができます)

さらに、胸を張ってハンドルを胸の上部に引き寄せ、背中側で肩甲骨を寄せることによって、僧帽筋の中部・下部(背中の上部・中央)も刺激することができます。

チンニング・プルダウンのバリエーションで鍛えられる筋肉

チンニング(鉄棒にぶら下がって行う懸垂)も背中の筋力・筋肉をつけるのに効果的な種目です。

自重で行うトレーニングになるので機能性も高くなり、競技スポーツの補助としても役立ちます。

ただし自分の体全体をを引き上げなければならないので最初は難易度が高く、プルダウンに比べると動作範囲も狭くなりがちです。

ワイドグリップのチンニングでは、体を垂直に上下する動きが中心になるので、主に背中の上部・外側(腕の付け根の辺り、広背筋上部と大円筋)が鍛えられることになります。

(ただしアスリートなど筋力が強く、鉄棒に胸やみぞおちをつけるところまで体を引き上げられる場合は、僧帽筋中部・下部、菱形筋なども強く刺激されます)

またラットプルダウンのバリエーションであるビハインドネックプルダウン(頭の後ろにバーを引く種目)だと、手の幅を広くすると肩甲骨の上方回旋(肩甲骨が、内回りに回転する動き)が起こり、背中上部のほか僧帽筋や菱形筋(背中の上部中央、肩甲骨のあいだ)も補助的に働きます。

ビハインドネックプルダウンで手の幅を肩幅程度にすると、肩甲骨はあまり動かず、僧帽筋や菱形筋はあまり関与しなくなり、三角筋(肩)の後部が働くようになります。

(ビハインド種目は首や肩関節に負担がかかることがあるので、違和感がある場合はフロントラットプルダウンのほう行うことが勧められます)

手の幅や向きによる効果の違い

チンニングやラットプルダウンのバリエーションとして、手の幅を肩幅から狭めのクローズグリップで行うと、体を下ろしていくときに広背筋下部(わきの下の下方)がよくストレッチされるので、この部分に効果的。

またリバースグリップ(逆手)だと肘の深い屈曲(曲げる)動作が加わるので、上腕二頭筋(力こぶ)の関与が大きくなってきます(上腕二頭筋には、これがベスト種目という人もいます)。

一方、背中を重点的に鍛えたい場合は、ニュートラルグリップ(手のひらを向き合わせた状態)で行うと上腕二頭筋の働きが抑えられ、広背筋など背中の筋肉を働かせることができます。

その他のバリエーションとまとめ

この他、パートナーが補助して行うチンニングだと(ジムによっては、アシステッドマシン=体を持ち上げるのを補助するマシンが置かれている場合もあります)、自力でできなくなった場合でも、さらに背中の筋肉を追い込むことができます(初心者の方にも効果的です)。

ここまでをざっくりとまとめると、マシンで行うラットプルダウンは負荷調節が容易で動作範囲を大きくとりやすく、背中全体の筋肉をつけるのに効果的。

チンニングも筋力や機能性を高めるのに効果的ですが、自分の体全体を持ち上げなければならないので、難易度はより高くなります。

ワイドグリップで行うチンニングやプルダウンは、主に広背筋上部や大円筋(腕の付け根の辺り)が鍛えられ、逆三角形の上半身をつくるのに効果的。

(背中側で肩甲骨を寄せる動作を加えると、僧帽筋の中部や下部=背中の中央・上部、肩甲骨のあいだも刺激されます)

手幅を狭くしたクローズグリップだと広背筋下部(わきの下の下方)がストレッチされ、この部分に効果的。

リバースグリップ(逆手)だと上腕二頭筋(力こぶ)の働きが大きくなり、ニュートラルグリップ(手のひらを向き合わせる)だと背中の筋肉に負荷が集中しやすくなります。

もっとも基本的な種目はワイドグリップで行うラットプルダウン(筋力が高い人はチンニング)になりますが、トレーニングごとに変化を加えていくと背中全体がまんべんなく鍛えられ、筋力のアップや引き締め効果も見込めます。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。