
デッドリフトの正しいフォームは?どんなやり方・種類がある?効果は?
デッドリフトは、ハムストリングス(太ももの裏側)・殿筋(ヒップ)下背部(腰)・背中など、とくに体の後面全体の筋肉の強化に効果的です。
この記事では、基本のデッドリフトのやり方とフォームから、8種類のデッドリフトのバリエーションとその効果をご紹介します。
基本のデッドリフトのやり方とフォーム

ウェイトを加重したバーベルの手前に、腰幅のスタンスで立ちます。背中をまっすぐにして(極端に反らせたり、丸めたりせず)頭を起こし、ヒザと股関節(太ももの付け根)を曲げて、肩幅のグリップでバーを握ります。
そこからヒザを伸ばして、腰を前に押し出し、爆発的な動作で立ち上がります。
ポイントは、スタート時に背中を軽く弓なりにして前に倒し、背中側で肩甲骨を寄せてバーを強く握ります。息をしっかりと吸って体幹部を安定させ、腹筋に力を入れておきます。
そうして、ヒザと股関節を伸ばしてバーベルを床から一気に引き上げていきます。基本のデッドリフトは、全身の筋力・パワーを示す指標にもなります。
スモウ(ワイドスタンス)デッドリフトのやり方とフォーム

腰幅より足を広げ、つま先を外側へ向けます。殿部(ヒップ)を沈めて、バーを肩幅程度にして握ります。
体幹部にしっかりと力を入れ、上体をできるだけまっすぐ起こしたまま、バーを床から引き上げていきます。
股関節とヒザを完全に伸ばしたら、ゆっくりとスタートポジションへバーを戻していきます。
足幅を広くすることで動作範囲が狭まり、腰への負担を軽減することができます。また、内転筋群(太ももの内側)や殿筋(ヒップ)効果的です。
ヘックスバーデッドリフトのやり方とフォーム

トラップバーデッドリフトともいいます。
バーの中央部分に腰幅のスタンスで立ち、腰を落としてハンドルを握ります。体重をかかとにかけてバーを引き上げ、トップポジションでヒザと股関節を完全に伸ばすようにします。
手の中指が足の中央の横に来るようにして、ヒザをやや前んだして行うと、スタート時に大腿四頭筋(太ももの表側)を使って動作を行うことができます。
ヘックスバーデッドリフトも腰への負担を軽減し、柔軟性が低い場合でも行いやしくなります。
ヘックスバーがない場合は、ダンベルで代用することもできます。ニュートラル(手のひらを向き合わせた状態)で行うと、より重いウェイトを扱うことができます。
ディフィシットデッドリフトのやり方とフォーム
20~25㎏のプレートの上に立ち、デッドリフトを行います。
通常のデッドリフトより動作範囲を広げることができ、とくに床からウェイトを引き上げるスタート時の筋力を強化することができます。
ハムストリングス(太ももの裏側)や大殿筋(ヒップ表面)をより鍛える効果もあります。
オーバーロードデッドリフトのやり方とフォーム

マックス(一回だけ挙げられる最大重量)より重いウェイトをバーベルにセットし、できる限り力を入れて引き上げるようにします。
(最大挙上重量以上なので)実際に上げることはできませんが、デッドリフトで使われるすべての筋肉をより強く働かせることができます。
オーバーロードデッドリフトも、とくにスタート時の筋力のアップに効果的です。
ラックプル(ハーフデッドリフト)のやり方とフォーム

パワーラックのセーフティバーを、ヒザのやや下にセットしてバーベルを置きます。ここから基本のデッドリフトで扱えるよりも重いウェイトをセットし、上半分で動作を行います。
この方法だと、バーを床から引き上げる局面が除かれるので、動作の後半で発揮する筋力を強化することができます。
上体を起こす際に下背部(腰の周辺)、バーを体に引き寄せる際に僧帽筋(肩甲骨の周辺)や広背筋(わきの下)が働き、とくに背中の筋肉を鍛えるのに効果的です。
ワンアンドハーフデッドリフトのやり方とフォーム

基本のデッドリフトの動作でバーを上げてから、スネの中間の高さまで下ろし、再びバーを引き上げてから今度はスタートポジションまで戻し、これを1回とします。
とくに、可動域の中盤の局面での筋力アップに効果的です。
筋肉を緊張させている時間が長くなるので、そのぶん筋肉量をアップすることも見込めます。
アイソピンプルのやり方とフォーム
パワーラックのセフティバーをヒザの高さにして、その下に軽め(20~60kg程度)のバーベルをセットします。
バーをピンに向かって引き上げ、5秒静止してから、ゆっくりと下ろします。
できる限り力を発揮してセーフティーバーに向けて引くことで、筋肉に静的なテンション(緊張状態)をかけて強化することができます。
セーフティーバーの高さを調節することで、動作の下部から上部、それぞれで発揮できる筋力を高めることができます。
デッドリフトウィズチェーンのやり方とフォーム
バーベルの中ほど、または外側部分にトレーニング用のチューブをかけてデッドリフトの動作を行います。
バーベルを上に引き上げるほど、チェーンの重さも加わり、トップポジションに近い部分の筋力をアップすることができます。
チェーンの代わりに、長めのバンド(またはトレーニングチューブ)をパワーラックの下部(または上部)にかけ、バーベルの上(または下)に通して行うやり方もあります。
まとめ

とくに重要になるのが、冒頭の3種目(基本のデッドリフト、スモウデッドリフト、ヘックスバーデッドリフト)。
全身の筋力を高め、高重量・低回数(1~3回程度)で行えばサイズアップ、中重量・中間回数(6~10回程度)で行えばエネルギー消費を高め、体の引き締めの効果が期待できます。
後半の6種目(ディフィシットデッドリフト、オーバーロードデッドリフト、ラックプル⦅ハーフデッドリフト⦆、ワンアンドハーフデッドリフト、アイソピンプル、デッドリフトウィズチェーン)は応用編。
可動域や重量を変えることで、スティッキングポイント(動作が困難になる局面)を克服するのに役立ちます。