
胸筋を集中的に鍛える、ダンベルフライとケーブルクロスオーバー。
「人によってやり方が違うけど(腕を広げる範囲や、肘を伸ばす、手首を回すなど)、正しいやり方は?」
この記事では、フライ動作を安全かつ効果的に行うための可動範囲や動作のポイントなどについて解説していきます。
胸筋を鍛えるプレス種目とフライ種目の違い
ベンチに仰向けになってバーベルなどを挙げるベンチプレスは、大胸筋の筋力・筋肉量のアップに効果的な複合種目(多関節種目、ベーシックエクササイズともいいます)。
プレス系の種目では肩関節の内転(横に開いた腕を、前に押し出す動作)や屈曲のほか、肘関節の伸展(肘を伸ばす動作)も加わります。
そのため胸筋のほか、上腕三頭筋(上腕の裏側、二の腕の筋肉)や三角筋(肩の筋肉)前部なども関与し、そのぶん重い重量を扱うことができます。
一方、フライ種目は単関節種目(アイソレーションエクササイズともいいます)で、肘を軽く曲げた状態から腕を横に開き、丸太を抱えるようにして閉じていく内転動作のみになります。
肘の曲げ伸ばしが加わらないぶん扱う重量は軽くなりますが、他の部位の関与が減るので、大胸筋をより重点的に刺激することができます。
一般的にはプレス系の種目で基礎となる筋力・筋肉をつけ、その後にフライ系の種目を加えて胸筋をさらに刺激するという順番になります(上級者向けに、順序を逆にして行うパターンなどもあります)
フライ種目のボトムポジションでの動作
ダンベルフライやケーブルクロスオーバーでは、ウェイトを下ろすボトムポジションでどこまで腕を後方へ引くかは、胸筋の筋力や肩関節の柔軟性などにより個人差があります。
(ボディビルダー時代のアーノルド・シュワルツェネッガーは、筋力・筋肉量とともに柔軟性も高かったので、かなり低い位置までウェイトを下ろして動作を行うことができました)
ただし肘を肩よりも後方に引くと、胸筋外側の働きがより大きくなりますが、肩関節に過剰なストレスが加わることになります。
一般的には、ケガを避けて安全に行うためには、ボトムポジションで肘が肩と同じ高さになる(ダンベルフライの場合は、上腕が床と平行になる)位置が目安となります。
(これより前の位置で肩がきつくなる場合は、トレーニング後に胸筋のストレッチを採り入れて柔軟性を高めておくと効果的です)
動作中、肘の角度はやや曲げた角度を保つようにすること。
肘を45度以上曲げるとベンチプレスに近い動きになり、異なる動作になります。
ただし、完全に肘を伸ばした状態だと、肘や肩関節を痛める危険性が出てきます。
(肘はわずかに曲げた状態を保ち)腕を伸ばすほど、体からより遠くまでダンベル(またはケーブルのハンドル)を動かすことになり、中程度の重量でも相対的に胸筋にかかる負荷を大きくすることができます。
フライ種目のトップポジションでの動作
フライ種目では、動作全体をニュートラルグリップ(手のひらを向き合わせた状態)で行う場合と、ウェイトを挙げたトップポジションで回内グリップ(小指同士を近づけ、手のひらを頭のほうへ向けた状態)にする場合があります。
ニュートラルグリップでは、動作がよりシンプルに行え、重いウェイトも扱いやすいという利点があります。
回内グリップにする場合は、トップポジションで上腕骨が外旋し(外側に回る)、肘同士が近づくので可動域がやや大きくなり、胸筋内側に刺激が入るようになります。
(ただしダンベルフライの場合、ダンベルを触れ合わせるほど近づけるとほとんど重力がかからなくなるので、効果は限られます)
手のポジションについては、どちらがより効果が高いという訳ではなく、バリエーションとしてトレーニングごとに両方を採り入れることがすすめられます。
まとめ:フライ種目で効果を上げるために
・大胸筋のエクササイズには、大別してプレス系の種目とフライ系の種目がある
・プレス系の種目は基礎的な筋力・筋肉量のアップに、フライ系の種目は胸筋を重点的に刺激するのに効果的
・一般にウェイトを下ろしたボトムポジションでは、肘が肩と同じ高さになるまでが安全性が高い
・手のひらを向き合わせたニュートラルグリップでは、重いウェイトが扱いやすい。トップポジションで手首を回内する(小指同士を近づける)と可動範囲がわずかに広がり、胸筋の内側を刺激することができる(ただし、劇的な差はない)
ダンベルフライまたはケーブルクロスオーバーも、中重量(8~12回程度ができる重さが目安)でコントロールした動作で行うと、胸筋を安全かつ最大限に刺激することができます。