
腹筋は筋トレはよく行われていますが、ストレッチは割と見落とされがちです。
加齢や運動不足になると太りやすく、お腹も出やすくなってきますが、腹筋とともにストレッチを行って柔軟性を保つと、腰やヒザなどの負担も軽減されることが期待できます。
この記事では、腹筋(腹直筋・腹斜筋)の構造と働き・ストレッチのやり方・効果を上げるためのポイントをご紹介します。
腹直筋・腹斜筋の構造と働き

腹直筋(腹部正面の筋肉、いわゆる腹筋)は、恥骨の恥骨稜・恥骨結合前面から始まり、第5~7肋軟骨・剣状突起・助剣靭帯に付着しています。
腹直筋は、主に体幹部を屈曲する(上体を丸め)動作、また胸郭(きょうかく)前壁の引き下げ、腹腔内圧(ふくくうないあつ)の拡大に働いています。
外腹斜筋(わき腹の表層の筋肉)は、第5~12肋骨の外面から始まり、前面は鼠径靭帯(そけいじんたい)・側面は腸骨稜(ちょうこつりょう)の外唇(がいしん)に付着しています。
内腹斜筋(わき腹の深部の筋肉)は、胸腰筋膜深葉(きょうようきんまくしんよう)・上前腸骨棘(じょうぜんちょうこつきょく)、鼠径靭帯(そけいじんたい)、腸骨稜(ちょうこつりょう)の中間線から始まり、第10~12肋骨の下縁(上部)・腹直筋鞘(ふくちょくきんしょう)中部・精巣挙筋(せいそうきょきん)下部に付着しています。
腹斜筋は、主に体幹部を回旋する(ひねる)・側屈する(横に倒す)動作、また腹直筋を補助して体幹部を屈曲する働きがあります。
その他、内腹斜筋の深層には腹横筋があり、腹腔内を拡大して呼吸を補助する働きがあります。
腹直筋・腹斜筋のストレッチのやり方

腹直筋のストレッチの方法は、
・(レベル1)うつ伏せになってヒジを床について、ろっ骨と恥骨(骨盤)を遠ざけるようにするイメージで腹部正面(腹直筋)を伸ばしていきます。
・(レベル2)手を床についてヒジを伸ばしていくと、さらにストレッチがかかります。
⦅腰椎の前弯(反らせすぎ)により、腰を痛めないよう注意。ヒジは無理のないところまで伸ばせばよいです⦆
・(レベル3)上体を上げた姿勢からヒザを曲げ、股関節前面(太ももの付け根)にもストレッチをかけていきます。
(腰を痛めないよう、反らせすぎに注意して行います)
またバリエーションとして、上体を持ち上げた姿勢から横を向くようにすると、腹斜筋にもストレッチをかけることができます。

腹斜筋のストレッチの方法は、
・床に仰向けになって殿筋(ヒップ)を片側にひねって上げ、顔は背中側のほうへ向けます。
骨盤は床に対して(可能であれば90度に)回旋させます。
⦅骨盤が床に対して平行に近い状態で脚を床に近づけると、中殿筋(ヒップ側面)へのストレッチ刺激が強くなります⦆
各ストレッチを15~30秒、1~3セット行うと効果的です。
効果を上げるためのポイント
・腹直筋のストレッチで腰が痛い場合は、骨盤を少し床から浮かせる状態から行っても良いです。
股関節前面のストレッチ感は弱くなりますが、腰に不安がある場合は、ここからスタートしても良いです。
・腹斜筋のストレッチで、下側の脚のヒザが曲がっていると、骨盤が背中側へ倒れやすくなります。
下側の脚のヒザを伸ばして骨盤を床に対して90度にし、さらに余裕があれば上になっている脚のヒザも伸ばして足を遠くへ伸ばすと、より腹斜筋や腰方形筋(腰回り、深層の筋肉)にストレッチをかけることができます。
終わりに
体幹部(ウエスト周り)は、上半身と下半身をつなぐ要となる部分。
各部位の筋トレではもちろん、立ったり歩いたりする日常動作でも、体を支えるために働く重要な筋肉群になります。
ぜひ定期的にストレッチを採り入れて、快適な毎日を過ごしましょう。