
殿筋群(ヒップ)は表面の大殿筋から、その奥の中殿筋・小殿筋、さらに梨状筋など深層にある外旋六筋とさまざまな筋肉で構成され、協調して動いています。
大殿筋は体の中でもとくに大きな筋肉ですが、ここが落ちてくると脚が短く、またウエストも太く見えてきます。
また、歩行時や階段の上り下りなどで頻繁に使われる部位ですが、硬くなると腰痛や脚のしびれなどを引き起こす恐れもあります。
定期的にストレッチを行い、ほぐしておきたい部位のひとつです。
この記事では、殿筋の構造と働き・ストレッチのやり方・効果を上げるポイントをご紹介していきます。
殿筋の構造と働き

殿筋群はヒップ表面の大殿筋のほか、上部・側面の中殿筋・小殿筋、梨状筋など深層にある外旋六筋で構成されています。
大殿筋は、表面は腸骨稜(ちょうこつりょう)・仙骨(せんこつ)・尾骨(びこつ)、深部は腸骨翼(ちょうこつよく)・仙結節靭帯(せんけっせつじんたい)から始まり、上側は大腿筋膜(だいたいきんまく)外側・下側は大腿骨(だいたいこつ)に付着しています。
中殿筋は、大殿筋の上部・深層に位置し、腸骨翼・腸骨稜(ちょうこつりょう)から始まり、大腿骨の大転子に付着しています。
小殿筋は、中殿筋のさらに深層に位置し、腸骨翼から始まり、大腿骨の大転子の前面に付着しています。
さらに小殿筋の奥に、梨状筋など深層外旋六筋(しんそうがいせんろっきん)が集まっています。
殿筋群は、主に股関節を伸展する(太ももを後方へ振る)・外転する(太ももを外側へ開く)・外旋する(太ももを外向きへ回す)働きがあります。
⦅その他にも、わずかに股関節を屈曲する(中殿筋のみ:前方へ上げる)、内旋する(中殿筋・小殿筋のみ:内側へ回す)、内転する(大殿筋のみ:内側へ閉じる)などの働きがあります⦆
殿筋のストレッチやり方

殿筋群のストレッチは、座位・立位・仰向け・うつ伏せなど、さまざまなポジションで行うことができます。
環境や柔軟性にあわせて数十秒、無理なく維持できる姿勢を選んで行うようにしましょう。
大殿筋のストレッチの方法は、
・ストレッチする側のヒザを曲げ、骨盤を立てます。
・上体と太ももを近づけるようにしてゆっくりと股関節(太ももの付け根)を曲げていきます。

中殿筋のストレッチの方法は、
・骨盤を平行にして、ストレッチする側の脚を内転(内側に閉じるように)します。
・脚を交差するようにして、内側へ回していきます。
梨状筋など深層外旋筋群のストレッチ方法は、
・座った姿勢で足を開き、ヒザを90度に曲げます。
・足と座骨(骨盤)を固定し、ストレッチする側の脚を内旋し(内側へ倒し)、殿筋の奥にストレッチ感が得られるようにします。
(座位のほか、立位やうつ伏せの姿勢でも行うことができます)
15~30秒で1~3セット、ゆっくりと伸ばしていくようにすると効果的です。
効果を上げるやり方のポイント
・動作中は背筋を伸ばし、骨盤をまっすぐに立てるようにして行います。
(背中が丸くなって骨盤が後ろに倒れると、ストレッチ効果が半減します)
・つま先を持って足を手前に引くと、足首を痛めることがあります。手で足を引く場合は、足首より上を持って、スネと上半身を近づけるようにします。
終わりに
殿筋群(ヒップ)は、表面の大殿筋から深部の中・小殿筋、さらに奥の深層外旋六筋と、さまざまな筋肉が協調して働いています。
普段、立位や歩行時などに頻繁に使われている筋肉ですが、そのぶんケアを怠ると硬くなり、疲労もたまりやすくなるので、ほぐしておきたい部位のひとつです。
柔軟性が増してくると階段の上り下りなどが楽になり、体を動かしやすくなって2次的にダイエット効果も期待できます。
ぜひ定期的にストレッチを採り入れて、殿筋群を柔らかくしていきましょう。