
三角筋など肩周辺の筋肉は、腕を前後・左右に振る・ひねるなど、さまざまな方向に働きます。
近年は、長時間のパソコンやスマホの利用で肩が前に出て、円背(猫背)になる方も多くいらっしゃいます。
肩の周辺の筋肉が硬くなると、血流が悪くなってコリ・痛みの要因になることも。
この記事では、肩周辺の筋肉の構造と働き・ストレッチのやり方・効果を上げるためのポイントをご紹介します。
肩周りの筋肉の構造と働き

三角筋は肩の表面を覆う筋肉で、前部・中部(横)・後部の3つの筋頭で構成されています。
前部(鎖骨部:さこつぶ)は鎖骨の外側1/3の前縁から、中部(肩峰部:けんぽうぶ)は肩甲骨の肩峰外側先端部から、後部(肩甲棘部:けんこうきょくぶ)は肩甲骨の肩甲棘の下縁(けんこうきょくのかえん:肩甲骨の外側)から始まり、上腕骨の粗面(上部)に付着しています。
三角筋の働きは、前部は肩関節の屈曲(腕を前方へ振る)・水平内転(内側へ振る)・内旋(内側にひねる)動作に働きます。
中部は肩関節の外転(腕を横方向へ振る)、後部が肩関節の伸展(腕を後方へ振る)・水平外転(胸の前から後方へ振る)・外旋(外側にひねる)動作に働きます。

肩の深層にある肩甲下筋(けんこうかきん)は、胸郭と肩甲骨の間にある小さな筋肉で、肩甲骨前面から上腕骨上部の小結節(しょうけっせつ)に付着しています。
肩甲下筋は、広背筋・大円筋(背中側のわきの下・腕の付け根の筋肉)とともに、肩関節の内旋(上腕を内側にひねる)動作に働きます。
棘下筋(きょっかきん)は、肩甲骨の裏(背中側)にある小さな筋肉で肩甲骨に始まり、上腕骨上部の大結節(だいけっせつ)後中部に付着しています。
棘下筋は、小円筋(胸の深部の筋肉)とともに肩関節の外旋(上腕を外側へひねる)動作に働きます。
肩周りのストレッチのやり方

肩周りの筋肉のストレッチの方法は
⦅三角筋の前部:肩の前側⦆
・背後で手を組んで、ゆっくりと挙げていきます。
(または、背後のベンチなどに手を置き、ゆっくりと体を沈めていきます。後方に伸ばした腕を引っ張ってもらうパートナーストレッチも効果的です)

⦅三角筋の中部・後部:肩の横・後ろ側⦆
・四つん這いの姿勢から、ストレッチする側の片腕を胸の前にして床につけます。
・両肩ができるだけ床と平行になるようにして体重をかけていき、肩の側面・後部をゆっくりと伸ばしていきます。
(立位で片腕を抱え、胸のほうへ引いていくやり方もあります。このとき上体はひねらないよう固定して、ゆっくりとヒジの付近を引いていきます)

⦅肩甲下筋:肩の奥・前面⦆
・気をつけの姿勢から、手のひらを上に向け、ヒジを90度に曲げます。
・腕をやや後方に引いて、ゆっくりとヒジから下を外側へ回していきます。
(肩の奥の小さな筋肉なので、ゆっくりと無理のない範囲で行うようにします)
⦅棘下筋:肩の奥・後面⦆
・ストレッチする側の腕を背中へ回し、手の甲を腰のあたりにつけます。
・反対の手でストレッチする側のヒジの上をつかみ、ゆっくりと手前に引いていきます。
(上体をひねらないように注意。上腕を内側にゆっくりと回していくようにします)
肩周辺の力は抜いて、15~30秒、1~3セットゆっくりと伸ばしていくと効果的です。
効果を上げるためのポイント
・肩周辺の筋肉をストレッチする場合は、動作中に体幹部はなるべく動かないよう固定して行います。
体幹部も一緒に引っ張られる(横に倒れる、ひねる)と、僧帽筋や広背筋(背中の筋肉)、腹斜筋(わき腹)が伸びてくるようになります。
(ただし、これらの部位を意図的にストレッチする場合は、それで大丈夫です)
・肩関節は可動域は広い反面、深部の肩甲下筋や棘下筋などは痛めやすい部位なので、ゆっくりと無理のない範囲からストレッチするようにします。
終わりに
肩関節は腕をあらゆる方向へ動かす、可動域の広い関節になります。
現在は長時間のデスクワークや家事などで、肩周辺の方周辺の筋肉が硬くなりがちです。
肩表面の三角筋や深層の肩甲下筋、また胸や首周りのストレッチも合わせて行うと、上半身のバランスを整え姿勢を良くし、血流を促し疲労回復やコリ・痛みの予防・改善などの効果も期待できます。
ぜひ日常にストレッチを採り入れて、快適な毎日を過ごしていきましょう。