
「筋トレは、セットの最後で限界になるまでやらないと効果が出ない」「いや、限界までやるのは時代遅れ」
実際のところ、どちらが効果があるのでしょうか?
これまで発表されているデータを検証し、筋肉の成長・筋力・パワー・筋持久力向上を目的とする場合の基本的な方法を解説していきます。
セットを限界まで行う効果と注意点

ほとんどのセットを限界まで(あるいは上級テクニックを用いて、限界を超えるまで)行うことは、筋肉の成長を引き出すために有効であることが示されています。
ただし、常に限界まで行うトレーニングを続けていると、テストステロン(筋肉を増やすホルモン)レベルの低下とコルチソル(筋肉の分解に働く異化ホルモン)レベルの上昇を招く恐れがあることも指摘されています。
筋肉を大きくする筋肥大が主たる目的の場合は、1種目で行うセットの後半の1~2セットを限界まで行うことが行うようにします。
そして(トレーニング経験が半年~1年以上ある場合)、ときおり全セットを限界または上級テクニック(*)を用いて限界を超えて行う方法を取り入れると、筋肉により大きな刺激を加える効果が期待されます。
(*上級テクニック:セットの最後にわずかに反動を用いるチーティング、補助を受けて1~2回追加するフォーストレップ、限界に達したらすかさず重量を20%程度落として続けるドロップセットなど。
ただし、これらのテクニックはあまり長期間用いるとオーバーワークによるケガやダメージも心配されるので、1ヶ月程度期間を限定して行い、その後はやや強度を落として行うようにします。
そうしてテストステロンレベルの低下とコルチソルレベルの上昇を防ぐようにします)
筋力・パワー・筋持久力の向上には

筋力のアップについては、(より重いウエイトがスムーズに挙げられる)セットの前半の方が筋力が発揮できるので、高重量を挙げるメインとなる1セットを限界(もしくはその手前)まで行う方法がベストとされています。
筋パワー(筋力×スピード)については、ウェイトを速く挙げることができなくなったらその時点でセットを終了し、休憩時間をやや長め(完全に回復するまで)にとってセット繰り返す方法が有効。
筋持久力に関しては、反復回数が多いほうが有利となるので、限界かそれに近いところまで行う方法が効果を上げるとみられています。
ボディビルダーとパワーリフターの違い
ボディビルダー(各部位の筋肉を追い込んで増やす)の場合はセットを限界まで行うケースが多く、パワーリフター(最大限の重量を挙げる)の場合はほとんどのセットを限界までは行いません(筋肉が疲労する前に、ウエイトを追加していきます)。
セットを限界まで行うべきか、また限界まで行うトレーニングの頻度については、トレーニングの目的によって異なってきます。
まとめ
筋肉のサイズアップが目的の場合は、ほとんどのエクササイズにおいてメインセットの1~2セットを限界まで。
トレーニング経験が半年~1年以上の場合はときおり全セットを限界、または上級テクニックを用いて限界を超えて行う方法を取り入れると、筋肉により大きな刺激を加えて成長が促される可能性があります。
(ただし期間を1ヶ月前後に区切って、オーバーワーク⦅成長ホルモンレベルの低下と分解ホルモンレベルの上昇⦆を招かないよう、やりすぎには注意が必要です)
筋力の強化を目指す場合は、最大で1種目につきメインの1セットを限界まで。
パワー(筋力×スピード)の強化が目的の場合は、限界近くまで行わないように(ウエイトを挙げるスピードが落ちてきたらそこまでに)します。
そして筋持久力向上を目的とする場合は、ほとんどのセットを限界まで行うようにします。
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